郡上地鶏とは
「郡上地鶏」は、紀元前3世紀頃に渡来した古代鶏に最も近いとされる日本最古の品種です。郡上を中心として飼養される地鶏は、江戸時代より郡上地鶏と呼ばれていましたが、その後「岐阜地鶏」と呼称され、昭和16年に国の天然記念物に指定されました。全国日本鶏保存会の著書によると、「郡上郡内で飼育されている郡上地鶏が、天然記念物指定当時に『岐阜地鶏』とされた」とあり、当時の岐阜地鶏は郡上地鶏だったと推測されています。
「郡上地鶏」は郡上郡の固有種で、尾がキジのように長く数十メートル飛ぶのが特徴です。東南アジアに生息するセキショクヤケイに最も近く、蓑毛(みのげ)のすその色によって黄笹(きざさ)、赤笹の2種類があると言われてます。
郡上地鶏の今
郡上地鶏は、自治体などによる本格的な調査は行われていないため、正確な個体数は不明となっています。すでに本来の郡上地鶏の姿を保っているのは20羽程度で、保存策が取られなければ郡上地鶏の絶滅も考えられのです。
郡上地鶏保存会
『郡上地鶏保存会』は、基本的に地鶏が好きで飼っている人、興味があるなど、一種の趣味人の方々がメンバーとなっています。特に明確な規約や予算などはありませんが不定期的に集まりを設けています。
自分たちの嗜好や環境にあわせて各人がそれぞれに『郡上地鶏』と付き合っています。ただ、いくら趣味とは言えど、この人たちがいなければ私たちの暮らしの風景にある『郡上地鶏』は既に絶滅していたかもしれません。
問題は「絶滅の危機を迎えてる」と言っても実は『郡上地鶏』が一体全体どのくらいの数が郡上にいるのかが、きちんと確認されていないということです。
さらに健全な雛を孵すためには、雄鶏と雌鶏のかけ合わせなど、数が少なくなるがゆえの心配もしなくてはいけなくなっています。飼って毎日付き合ってみると、それぞれ形態的に、あるいは性格的に個体差があることに気がつきます。そういった固体管理をきちんとやっていけないかと以前より話し合われてきましたが、まだまだ有効な手だてがないのが現状です。
郡上地鶏・里親事業
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郡上の地に郡上地鶏を増やすこと、そのためにや郡上地鶏と暮らしを共にする人々が増えなければなりません。郡上地鶏保存会では「里親事業」として随時、郡上地鶏の提供を行っています。
郡上地鶏・里親事業
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郡上地鶏・鶏に関連する書籍やリンクなど
天然記念物の動物たち
畑 正憲 著
著者はムツゴロウとも称される畑正憲氏です。日本全国で希少種となり天然記念物とそれを守ろうとする人々の姿を描いています。郡上地鶏については当時、郡上八幡市街地内で飼っていた小坂正夫氏をインタビューするとともに畑正憲氏による郡上地鶏の観察眼が光る一冊です。
古本屋でもなかなか手にすることはなくなったこの著書ではありますが、「ムツゴロウと天然記念物の動物たち」として、平成24年9月下旬にて再刊されることになりました。「森の仲間」と「海・水辺の仲間」の二冊にて構成されており、郡上地鶏は「森の仲間」の冒頭に紹介されています。畑正憲氏の動物への愛情ある言葉が、再び私たちに、人がどのように自然と向き合っていけばよいのか?という問いかけをしてます。
(角川ソフィア文庫 税別552円)※トップページの写真は郡上地鶏保存会からの提供です。
鶏と人
秋篠宮文仁 編著
日本に鶏が伝わる原点を求めて。ナマズ博士とも高名な秋篠宮文仁殿下は実は鶏についても大変な博識を持っていらっしゃいます。東南アジアには今でも野生の鶏(赤色野鶏)が存在します。現地のいくつかの部族集落へと訪れることで、野生の鶏が人に飼われることで興る祭事や占いなど様々なかたちで現れる風習を取材することで、鶏と人がどのように繋がっているか考察されています。
日本鶏 地鶏特集 21
中沢道生・郡上地鶏保存会 所蔵
現在の郡上地鶏保存会では大御所的な存在であります中沢氏の所蔵ほか貴重な資料の数々を郡上地鶏保存会の取り組みの一環として電子化など保管をしつつあります。
そのひとつとして「日本鶏 地鶏特集 21」の記事、もう手には入らないだろうものをアップロードしました。
日本鶏 地鶏特集21